減築は高かった。
新築を別に建てたほうが安かったかもしれない。
それでも「近居」を選んだのは、お金に見えない価値があると感じたからです。
本記事では、
二世帯住宅(同一敷地内の近居)による子育て・介護のメリットを、あえて金額換算してみます。
「気持ちの問題」「精神的安心感」で終わらせず、
どこまでが“コスパ”で説明できるのかを検証します。
想定条件(今回の試算モデル)
まずは前提条件を揃えます。
家族構成・時間軸
- 子ども:1歳/3歳
- 親世帯:現在は自立、15年後から介護が必要になる想定
- 居住形態:同一敷地内の近居(二世帯だが生活動線は分離)
- 比較対象:
- ① 近居(二世帯)
- ② 車で20分程度の別居
※ 金額はあくまで平均的・保守的な数字で試算します。
① 子育てフェーズ(今〜10年程度)の金額換算
ベースとなる考え方
子育て期の「近居メリット」は、主に以下です。
- 保育園の送迎サポート
- 急な発熱・体調不良時の預かり
- 親が来る/呼ぶための移動コスト削減
これらを外注・代替手段で置き換えた場合の金額で考えます。
ケース1:急な発熱時の「詰み」を回避できる
別居の場合
- 病児保育:1回 3,000〜5,000円
- そもそも空きがなく仕事を休む
- 有給1日=実質 15,000〜20,000円相当
近居の場合
- 親に30分〜半日預かってもらう
- 金銭コスト:0円
年間換算(控えめ想定)
- 年5回 × 15,000円 = 75,000円/年
ケース2:送迎・ちょい預かりの積み重ね
- 習い事前後の30分預かり
- 保育園の迎えを月2〜3回代行
代替すると?
- ベビーシッター:1時間 2,000〜2,500円
年間換算
- 月2回 × 2時間 × 2,000円 × 12ヶ月
→ 96,000円/年
▶ 子育てフェーズ合計(10年間)
| 項目 | 年間 | 10年 |
|---|---|---|
| 急な発熱対応 | 約7.5万円 | 約75万円 |
| 送迎・預かり | 約9.6万円 | 約96万円 |
| 合計 | 約17万円 | 約170万円 |
👉 子育てだけで約170万円分の価値が生まれる計算です。
② 介護フェーズ(15年後〜)の金額換算
次に、よりインパクトの大きい介護フェーズです。
近居で変わるポイント
- 見守り・安否確認を「訪問介護」に頼らなくてよい
- 通院付き添いの交通費・時間削減
- 軽微な家事・買い物を家族対応できる
ケース1:見守り・声かけの代替コスト
別居の場合
- 生活援助(訪問介護):
- 1回 2,500〜3,000円
- 週1回でも月10,000円以上
年間
- 約12万円
近居の場合
- 日常の声かけ・異変察知 → 0円
ケース2:通院付き添い・移動コスト
- 月2回通院
- タクシー or ヘルパー同行
別居の場合
- タクシー往復:3,000円 × 24回 = 72,000円
- or 家族が有給取得
年間
- 7〜10万円相当
▶ 介護フェーズ合計(10年間)
| 項目 | 年間 | 10年 |
|---|---|---|
| 見守り・生活援助 | 約12万円 | 約120万円 |
| 通院付き添い | 約8万円 | 約80万円 |
| 合計 | 約20万円 | 約200万円 |
③ 子育て+介護を合算するとどうなる?
| フェーズ | 金額 |
|---|---|
| 子育て(10年) | 約170万円 |
| 介護(10年) | 約200万円 |
| 合計 | 約370万円 |
👉 **約300〜400万円規模の「見えないリターン」**が発生します。
④ 減築コストと比べるとどう見えるか?
これまでの連載で扱った内容を重ねます。
- 減築による余分な解体コスト:+200万円前後
- リフォームと新築のコスパ逆転問題
ここで見えてくること
- 建築コスト単体では減築は分が悪い
- しかし、
- 子育て+介護の“実質リターン” ≒ 300〜400万円
- 結果として、
- トータルでは十分ペイする可能性がある
⑤ 数字にできないけど、確実に効いてくるもの
あえて金額にしなかった要素もあります。
- 「今日は無理」が言いやすい距離感
- 子どもが祖父母と自然に関わる時間
- 介護が“イベント”ではなく“日常”になること
これらは、
- 精神的負荷
- 仕事パフォーマンス
- 家族関係の摩耗
といった二次コストの削減につながります。
まとめ:減築は高かった。でも選択は間違っていなかった
- 建築費だけ見れば、減築は確かにコスパが悪い
- しかし、
- 子育て
- 介護
- 移動
- 仕事継続性
を含めたライフサイクルコストで見ると話が変わる
👉 二世帯・近居は「住宅」ではなく「インフラ投資」
そう考えると、見え方が少し変わってきます。

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