DIY防犯システムで最後にして最大の落とし穴が、
「検知はできていたのに、通知されなかった」
という事故です。
第4回では、Home Assistantを中枢とした自作防犯において、
「どう検知するか」ではなく「どうやって確実に知らせるか」 に焦点を当てます。
警備会社のシステムがなぜ
- 電話回線を使い
- 無停電電源装置(UPS)を備え
- 冗長な通知経路を持つのか
その理由を分解しながら、自宅・小規模店舗で現実的に再現できる設計を解説します。
なぜ通知設計が防犯の成否を分けるのか
防犯システムは、大きく分けると次の3段階で構成されています。
- 異常を検知する
- 異常だと判断する
- 人に知らせる
多くのDIY防犯は①と②に力を入れがちですが、
**実際に被害を防ぐのは③「通知」**です。
どれだけ高性能なセンサーを使っても、
- スマホの電池が切れていた
- Wi-Fiが落ちていた
- 通知が埋もれて気づかなかった
これでは意味がありません。
警備会社の仕組みから学ぶ「通知の基本原則」
まずは、プロの警備会社が採用している構成を簡単に整理します。
警備会社の典型構成
- センサー・警報装置は有線接続が基本
- インターネットではなく電話回線/専用回線を使用
- 警報装置にはバッテリー・UPSが内蔵
- 異常時は
- 管制センターに即時通報
- 人が判断し、現地対応
ここで重要なのは、
「最新技術」よりも「止まらないこと」を優先している
という点です。
DIY防犯で最低限押さえるべき3つの冗長化
自宅や小規模店舗で、警備会社と同じことを完全に再現する必要はありません。
しかし、最低限の冗長化ポイントはあります。
① 電源の冗長化(最優先)
まず守るべきは、次の機器です。
- インターネット終端装置(ONU/モデム)
- ルーター
- Home Assistant本体
- 通知を発報するハブ(スピーカー等)
これらは、短時間でも停電すると即座に沈黙します。
対策例
- 小型UPSを導入する
- 消費電力の低い機器構成にする
- UPSは「全体」ではなく「要所」に使う
「全部UPS」はコストが跳ね上がるため、
通知経路に関わる機器だけを守るのが現実解です。
② 通信経路の冗長化(インターネット前提を疑う)
DIY防犯の多くは、
Wi-Fi + インターネット + スマホ通知
を前提にしていますが、これは非常に脆い構成です。
起こりがちな事故
- 侵入者が回線を物理的に切断
- ルーターのフリーズ
- 回線障害
対策の考え方
- インターネットが落ちても
- ローカルで音が鳴る
- 光や物理動作で知らせる
- 可能であれば
- LTE/5G回線をバックアップに使う
Home Assistantは、
インターネットに依存しない自動化が組める点が強みです。
③ 通知先デバイスの冗長化(スマホ1台は危険)
通知がスマホ1台だけ、という設計はおすすめできません。
想定すべきリスク
- スマホの電池切れ
- マナーモード
- アプリ通知の不達
- 端末故障
現実的な多重化例
- スマホPush通知
- 家の中で鳴るスピーカー・サイレン
- 家族・共同経営者への同時通知
「うるさいくらいでちょうどいい」のが防犯通知です。
Home Assistantでできる通知設計の強み
Home Assistantを使う最大のメリットは、
通知を条件付きで制御できる点にあります。
例えば、
- 夜間かつ在宅 → 家の中だけで警告音
- 夜間かつ外出中 → スマホ+音+照明点灯
- 営業時間外 → 強めの通知
といった 文脈に応じた通知 が可能です。
これは、
「誤検知は減らしつつ、本当に危険なときだけ確実に知らせる」
ための重要な仕組みです。
設計のゴールは「1つ壊れても成立する」
自作防犯で目指すべきは、
完璧な防犯システム
ではなく、
1つ壊れても通知だけは届くシステム
です。
- Wi-Fiが死んでも音は鳴る
- スマホが死んでも家族に届く
- 停電しても最低限は動く
この発想を持つだけで、
DIY防犯の信頼性は一段上がります。
次回予告|構成例で一気に具体化する
次回(第5回)では、
- 自宅
- 自宅兼事務所
- 小規模店舗
を想定した 具体的な構成例 を図解ベースで紹介します。
ここまで読んで
「考え方は分かったけど、どう組めばいい?」
と感じている方のための回です。
自作防犯は、
設計8割・機器2割。
その設計が、いよいよ形になります。

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