前回の記事では、
警備会社と自作ホームセキュリティの違い を整理しました。
結論を一言でまとめると、
自作は警備会社の代替ではないが、
「考え方」を取り入れることはできる
という話でした。
今回はその続きとして、
自作ホームセキュリティで一番重要な「要件定義」 について掘り下げます。
実は、防犯システムで失敗する原因の多くは、
「機器選び」ではなく 設計不足 にあります。
なぜ要件定義が重要なのか
防犯システムというと、
- センサーを付ければ安心
- カメラを置けば安全
と思われがちです。
しかし実際には、
- 通知が多すぎて無視するようになる
- 在宅中にもアラームが鳴る
- 家族や従業員から不満が出る
といった理由で、
使われなくなる防犯システム が量産されがちです。
警備会社のシステムが成立しているのは、
- 何を
- いつ
- どの条件で
検知するかが、最初から明確に設計されているからです。
自作防犯でも最低限考えるべき4つの要件
ここでは、
「警備会社っぽさ」を感じられる自作セキュリティを作るために、
最低限押さえておきたい要件を整理します。
要件① 何を検知したいのか(検知対象の明確化)
まず決めるべきは、
「何が起きたら異常なのか」 です。
代表的な検知対象は以下の通りです。
- 窓・ドアが開けられた
- 人の動きがあった
- 火災・異常な温度上昇
- 金庫や重要設備が開けられた
ここで重要なのは、
すべてを検知しようとしないこと です。
検知対象が増えるほど、
- 誤検知
- 運用負荷
- 通知疲れ
が発生しやすくなります。
「被害につながりやすいポイント」から優先順位を付けましょう。
要件② いつ検知するのか(在宅・外出の切り替え)
次に重要なのが、
検知を有効にするタイミング です。
防犯は大きく分けて2つの状態があります。
- 外出時(無人)
- 在宅時(人がいる)
例えば、
- 在宅中に人感センサーが反応する
- 営業中にドア開閉で警報が鳴る
これは完全に設計ミスです。
そのため、
- 外出時のみ警戒モードをON
- 在宅時は一部センサーのみ有効
といった モード切り替え が必須になります。
要件③ どうやって通知するのか(通知設計)
検知したあとに重要なのが、
どうやって異常を知らせるか です。
おすすめは、
- スマートフォンへのプッシュ通知
- 室内での大音量アラーム
- 音声による注意喚起
の 複数手段を組み合わせること です。
ただし、ここで忘れてはいけないのが、
「通知先そのものが壊れていたらどうするか」 という視点です。
通知対象デバイスの故障リスクを考える
警備会社のシステムが高価である理由の一つに、
通信経路と電源の冗長化 があります。
多くの警備会社では、
- WiFiではなく電話回線・専用回線で通信
- 警報装置に無停電電源装置(バッテリー)を内蔵
といった構成を取っています。
これは、
- 停電時
- ルーター故障時
- インターネット障害時
でも 最低限の発報を維持するため です。
自作防犯で意識したい最低限の対策
自宅や小規模店舗で自作する場合、
警備会社と同じレベルの冗長化は現実的ではありません。
しかし、以下だけでも考慮する価値があります。
- インターネット終端(ONU・ルーター)にUPSを付ける
- アラート発報端末(スマートスピーカー・タブレット)の電源確保
- スマホ通知だけに依存しない(音・光による発報)
「停電=完全に無力」にならない構成を目指すだけで、
安心感は大きく変わります。
すべてを完璧にしようとしない
重要なのは、
警備会社と同等を目指さないこと です。
- どこまで割り切るか
- どこは人の判断に委ねるか
を決めておくことで、
自作防犯は現実的なものになります。
通知設計は、
「どう知らせるか」だけでなく、
「いつでも知らせられるか」 まで含めて考えましょう。
要件④ 誤検知をどう減らすか
防犯システムの最大の敵は、
誤検知 です。
- 風で揺れた
- ペットが動いた
- ちょっと庭に出ただけ
これらで毎回通知が来ると、
システムはすぐに信用されなくなります。
誤検知を減らすために有効なのが、
- 明示的な「警戒セット」操作
- ロック状態と組み合わせた検知
- 一定時間内の複数条件成立
といった考え方です。
「自動化しすぎない」ことも、防犯では重要 です。
自作防犯は「通知が来ればOK」で割り切る
ここまで要件を整理すると、
気づくことがあります。
それは、
自作防犯は
「異常を知らせる」ところまでが役割
という点です。
- 警察が必ず来るわけではない
- 誰かが駆けつける保証もない
だからこそ、
「早く気づく」ことに全振りする のが現実的です。
まとめ:設計8割、機器2割
自作ホームセキュリティでは、
- 高価な機器
- 多機能なセンサー
よりも、
- 何を検知するか
- いつ有効にするか
- どう通知するか
という 設計の質 が結果を左右します。
次回は、
これらの要件を実現するために、
Home Assistantで何ができるのか
を全体像から解説します。
「難しそう」と感じている方ほど、
ぜひ続けて読んでみてください。


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