建築基準法より怖い“土地売買の現実”
二世帯住宅化を考えたとき、
多くの人が一度はこう考えるのではないでしょうか。
「全部壊すより、減築して使った方が安いのでは?」
私自身も、最初はそう思っていました。
しかし、実際に数字を並べて検証してみると、
減築は“解体費を節約する選択”にはなりにくい
という現実が見えてきました。
この記事では、
- なぜ減築は「解体費の後払いローン」になりやすいのか
- なぜ建築基準法より「土地売買の条件」の方が厳しいのか
この2点に絞って整理します。
前提条件(モデルケース)
※あくまで比較用の想定です。
- フル解体(住宅1軒):300万円
- 減築解体:250万円
- 土地売買成立のための追加解体:200万円
- 土地価格:500万円
- 売却条件:必ず更地渡し
1. フル解体は「一括払い」、減築は「分割払い」
フル解体の構造はシンプル
フル解体の場合、
- 建物をすべて撤去
- 解体費は一度で完結
- 将来、売却時に追加解体なし
解体費はその場で完結します。
減築は解体工事が分断される
一方、減築の場合はこうなります。
- 減築時の部分解体
- 土地売買成立のための追加解体
- 将来、残存建物の解体(更地渡し)
つまり、
解体費が「3回」に分かれて発生する
構造になります。
金額で見るとどうなるか
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 減築解体 | 250万円 |
| 売買成立のための追加解体 | 200万円 |
| 将来の残存建物解体 | 300万円 |
| 合計 | 750万円 |
フル解体(300万円)と比べると、
+450万円の差です。
2. なぜ減築解体は高くつくのか
「壊してはいけないもの」がある解体
減築は、
- 残す建物を壊さない
- 構造安全性を維持する
- 養生・人力解体が増える
という 高リスク工事 になります。
その結果、
- 工期が延びる
- 人件費が増える
- 責任コストが価格に乗る
👉 フル解体より安くなる理由が、そもそもありません。
3. 建築基準法より怖い「土地売買の現実」
よくある誤解
「もともと家が建っていた土地だから、
建て替えも売却も問題ないはず」
これは半分正解で、半分間違いです。
売買では「住める」より「売れる」が優先
土地売買では、次が厳しく問われます。
- 境界が明確か
- 越境物がないか
- 基礎・土間・埋設物が残っていないか
生活上問題なくても、
売買上NG になるケースは珍しくありません。
建物がない部分も解体対象になる
減築後の敷地では、
- 建物がかかっていない部分に
- 古い基礎
- 土間コンクリート
- 配管の残骸
が残っていることがあります。
これらは、
- 建築基準法上はグレーでも
- 売買契約上はアウト
👉 結果、+200万円の追加解体が必要になりました。
4. 減築は「解体費の後払いローン」
ここまでを整理すると、
- 解体費は安くならない
- 支払い回数が増える
- 将来必ず追加費用が発生する
減築とは、
「今払わない代わりに、後で必ず払う」 解体費の後払いローン
と言えます。
まとめ:それでも減築・近居を選ぶ理由はある
コストパフォーマンスだけで見れば、
- フル解体 or 別土地新築の方が合理的
- 減築は不利になりやすい
これは、かなり高い確度で言えます。
ただし――
- 子育てで助け合える距離
- 介護を「呼べ提醒度」で頼める環境
- 車移動なしで成立する相互依存
こうした 近居の価値 は、
解体費の比較だけでは測れません。
次回予告
次の記事では、
「近居による子育て・介護メリットを金額換算してみた」
として、
- 保育・送迎・家事支援
- 介護・見守り・突発対応
- 時間と精神的コスト
を あえて数字に置き換えて 検証します。
減築が「コスパ最悪」に見えても、
それでも選ぶ理由はあったのか?
次回、その答えを整理します。


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